Dr.けーぴょんちゃんです。
北京オリンピックでは、自国・他国問わず選手たちの心を揺さぶるパフォーマンスが繰り広げられていますね!
ロシアのフィギュアスケート選手であるワリエワ選手がドーピング疑惑が浮上している禁止薬物トリメタジジンとはどういった薬剤なのでしょうか。
ざっくりと
・トリメタジジン(商品名バスタレルF®)は、フランスで1968年に発売された虚血性心疾患治療薬剤である。
・細胞内の代謝調節機能(=ミトコンドリアと呼ばれる細胞内エネルギー産生小器官でのエネルギー産生系の調整)を介して、心筋保護や血管拡張作用などを有する。
・疲労回復効果が示唆されているとか。
参考サイト:バスタレルF錠3mg.pdf
今回の騒動は、彼女がドーピングしたのかしていないのかはあまり興味はありません。一方で、「Drug repositioning」言い換えると「既存薬剤の新たな作用」に注目が集まっていることに興味が湧きました。
1968年に作成された狭心症の薬剤が、半世紀以上の時を超えて疲労回復に効果がある、というのは面白いと思いませんか?昨今、同薬剤は狭心症薬として使われている現場はみたことがありません笑
新規の薬剤開発には、膨大な医療費と、血の滲む研究者の努力、開発をサポートする国家戦略など沢山の要素が同時にかみ合わないとうまくいかないことだと思います。しかしながら、既存の薬剤が多面的作用を有していることを明らかにすることにも取り組んでいる私にとっては、今回の騒動は科学的に大変興味深いとは思いました。
まだまだ15歳の将来性豊かなアスリートが潰されてしまわないことを願っています。
※本記事は、2月11日に寝落ちしたため、2月12日に記載しました。