Dr-Kee-pyon-chan’s diary

1日1学びと息抜き

2022/02/10 結核はコロナより怖い?ー抗結核薬投与中の肝機能障害の対応ー

Dr.けーぴょんちゃんです。

 

ちょっと真面目な話ですみません。

一昨日の外来に抗結核薬投与中の肝機能障害を有する患者さんが受診されました。

結核は先進国の中でも日本は多く、適切な治療をしないと耐性化(抗生剤に効かない結核菌が出現すること)を誘導します。

さらに結核は空気感染するため、マスクはコロナ以上に厳しいマスク(N95マスク)を装着して診療に当たる医療機関も多いです。コロナは一応は飛沫感染接触感染とされていますよね。

いくつかの文献(ガイドライン、Up to date、ポケット呼吸器診療)で細かい点に多少の差異はありますが、大筋は全く同じです。

結核薬投与中の肝機能障害に対するキモ中のキモの知識を抜粋しました。

 

・肝障害マーカー(ASTやALT)>基準値5倍で休薬

・休薬後、肝障害マーカー(ASTやALT)<基準値2倍で投薬再開

・再開薬は中断前に投与していて薬剤の前にLiver-sparing drugs(肝臓にあまり負担を掛けにくい薬剤、ex EB+LVFXなど)を投与しておき、その後Key drugであるINHやRFPを1剤ずつ再開する。(感覚だけで、INHやRFPを単剤で始めない!!)

 

読者の方で結核治療に興味がない方も多いと思います。アルファベットばかりならんでいて大変恐縮ですm(__)m

結核診療に携わる方であれば絶対に避けては通れない内容だと思います。

 

個人的には、コロナウイルスより結核の方が大変厄介なばい菌だと思っています。

理由は、①結核は体内に潜伏すること②治療期間が数か月ー年単位で治療を要すること③耐性化(薬が効かなくなること)が容易に誘導されること④薬剤内服中はお酒が飲めないものがあること⑤保健所の負担があること⑥検査や治療の解釈が大変難しく経験豊富な医師が少ないこと⑦空気感染するため公衆衛生的に問題になることなど(施設で流行したら大変)沢山の理由があるからです。

 

日本の結核が「大したことないばい菌」で居続けられるように、医師も患者さんも何か有害事象が起きたらしっかりと根拠を持って治療に当たる/取り組むことが大切ですね。

 

それでも結核は昔と比べてちゃんと治療すれば「治る」時代です。

是非、皆さんと一緒に勉強していければと思います。

 

結核に精通されている読者の方で何か齟齬のある表現などあればコメントいただければ幸いです。勉強させていただければと思います。

 

 

 

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結核薬投与中の肝機能障害に対する対応