腸チフスとはー東南アジア,中南米,アフリカへの渡航を予定している方はワクチン接種をー
Dr.けーぴょんちゃんです.
本日は週1回の企業健診に来ております.
企業内診療所では,生活習慣病の管理が中心業務ですが,予防接種業務というものがあります.
海外駐在前に予防接種を行っていただくのですが,その中でも腸チフスワクチンを接種しに来られた職員さんがおられたので,ざっとまとめてみることにしました.
下記の世界地図の緑の地域への旅行を考えられている読者の方は,是非記事を参考にしていただき,予防接種のご検討をお願い致します.
①腸チフス、パラチフスとは
腸チフス、パラチフスは、チフス菌、パラチフス菌による感染症である.
アジア、中南米、アフリカ等世界各地でまん延している.
日本国内では、昭和初期ー終戦後にかけて代表的な感染症の1つだったが、衛生環境の整備により患者数は激減した(やっぱり日本は衛生面がいいですよね)。
②原因と感染経路
病原体は、腸チフスはチフス菌(Salmonella Typhi)、パラチフスはパラチフスA菌(Salmonella Paratyphi A)である.
ヒトのみに感染する(なんでだろう).
患者や保菌者の便に汚染された食品や水を摂取することによって感染(経口感染)する.
③症状
潜伏期間(ばい菌が体に入ってから症状が出現するまで)は2週間前後.
39~40℃の高熱、下痢または便秘.
まれに、腸穿孔、腸出血を起こすこともある。
④治療
抗菌薬(ニューキノロン系)が有効.2週間程度内服.
南アジアや東南アジアでは薬剤耐性菌(適切な薬が効かないような変化)も多く報告されている。
⑤予防
流行している地域では、生水、氷、生野菜、カットフルーツなどの食品を喫食しない.腸チフスにはワクチンがある.(日本では未承認)。
6-1:経口生菌ワクチン(Ty21a)タイプ…接種対象は6歳以上.
弱毒菌の入ったカプセルを1カプセルを1日おきに3~4回服用
※妊婦及び免疫不全の人には接種不可
6-2:注射用不活化ワクチン(Vi CPS)タイプ…接種対象は2歳以上.
海外渡航2週間以上前に、1回0.5mlを筋肉内注射。
チフス菌から病原性に関係する成分であるVi 多糖体を使ったワクチンです
⑦診断・感染症法関連
診断は、血液や便、胆汁などの培養によるチフス菌、パラチフス菌の検出.
感染症法では三類感染症に定められており、診断した医師は直ちに最寄の保健所に届出が義務.
東京都感染症情報センター » 腸チフス、パラチフス Typhoid fever, Paratyphoid fever (tokyo.lg.jp)
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