喉の筋肉を刺激して睡眠中の無呼吸を治療するー植込み型舌下神経刺激療法とはー
Dr.けーぴょんちゃんです.
GW終わってしまいますね.改めて休日は残務に取り掛かることがとても心地よいなと思った1週間でした.
平日の方がどこも混んでいないですしお得感があります笑
さて,皆さんは睡眠時無呼吸症候群という疾患を聞いたことがありますでしょうか.
睡眠中に一定時間(10秒間)の呼吸停止や呼吸が浅いことが,睡眠1時間に規定回数以上(5回以上)存在し,日中の過度の眠気などの臨床症状を伴う場合に睡眠時無呼吸症候群と診断します.
この睡眠時無呼吸症候群は,睡眠中の自覚症状はほぼ乏しいものの,日中の眠気や注意力低下などの症状だけではなく,年単位の心血管イベント(心筋梗塞や脳梗塞など)のリスクを上昇するために積極的に治療が推奨されている疾患です.
観察された無呼吸・低呼吸の半数以上が,咽頭閉塞に起因した呼吸障害の場合には閉塞性,呼吸中枢異常に起因した呼吸障害の場合には中枢性と分類されます(睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020).
閉塞型SASの標準療法は持続気道陽圧(Continuous positive airway pressure : CPAP)療法であり,本邦ではAHI 20回/時以上で保険適応となります.ざっくり表現すると,機械で口や鼻から圧力をかけて,気道を開存させる治療です.
慣れるまでにだいたい3ヶ月程度かかりますが,睡眠前に機械を装着する煩雑さや,圧の不快感で睡眠障害をきたすこともあり,CPAPが継続できない患者さんも中に存在します.
しかし近年,植込み型舌下神経刺激療法が登場し注目を浴びています.
この治療法は,呼吸に同期して吸気時にのみ右前胸部皮下に埋め込まれたパルスジェネレーターから刺激リードを通じてカフが留置された舌下神経に電気刺激を与え,上記同会代金であるオトガイ舌筋を収縮させて気道虚脱を防ぐ治療法であり,本邦でも2021年4月にCPAP不忍容患者に対して保険適応となっています.
この治療法はAHIの改善効果が5年に渡り持続すること,導入後1年の自覚症状の改善効果がCPAPと同等であることが報告されました(Pascoe M, et al. Association of Hypoglossal Nerve Stimulation With Improvements in Long-term, Patient-Reported Outcomes and Comparison With Positive Airway Pressure for Patients With Obstructive Sleep Apnea. JAMA Otolaryngol Head Neck Surg. 2022.)
保険適応がなくても良いのであれば,それこそCPAPの機械を自費で購入する方や,高さが可変式の枕など生活習慣の是正で改善する患者さんも中にはいます.
CPAPが上手く使用できていない患者さんは,主治医の先生とご相談ください.