Dr-Kee-pyon-chan’s diary

1日1学びと息抜き

簡易嚥下機能評価ー誤嚥の可能性がある患者さんには入院/外来でスクリーニング検査を行うべしー

Dr.けーぴょんちゃんです.

高齢化社会が進むにつれて嚥下機能低下している入院患者さんが増えていますよね.

また高齢のご家族を持つ方にとっても,家族が嚥下機能が低下していないか心配になることもあると思います.

 

呼吸器内科医である私も,入院後に言語聴覚士(Speech-Language-Hearing Therapist;ST)さんに嚥下機能評価を全てお願いしており本当にお世話になりっぱなしです.

 

「ゴホッゴホッ」と明らかにむせこんでいる(=顕性誤嚥といいます)患者さんに注意することは当然ですが,不顕性誤嚥患者さんを拾い上げて適切かつ安全に経口摂取を再開することが大切です.

 

今回は外来でも実施可能な簡易嚥下スクリーニング検査を一部紹介したいと思います.

 

●反復唾液嚥下テスト

口を湿らせ,30秒間に何回唾液を嚥下できるかを観察する検査.

第2指で舌骨を,第3指で甲状軟骨を触知し,甲状軟骨が指を十分に乗り越えたときに1回とカウントする.

2回/ 30秒以下を陽性とし,3回以上を正常と判定する.

感度98%,特異度66%.

簡便で安全であるが,認知症等で指示の入らない患者には利用できない.

 

●改訂水飲みテスト

3 mL の冷水を嚥下させて誤嚥の有無を判定する検査.

舌背には注がずに必ず口腔底に水を入れてから嚥下させる.

評点が4点以上であれば最大でさらに2回繰り返し,最も悪い場合を評点とする.

カットオフ値を3点とすると,誤嚥有無判別の感度は70%,特異度は88%.

 

●フードテスト

ティースプーン1杯(約4 g)のプリンを嚥下させ,嚥下後に口腔内を観察し,残留の有無,位置,量を確認.

評点が4点以上であれば,最大でテストを2回繰り返し,最も悪い場合を評点とする.

フードテストでは食物の形態を変更し,評価を行うことができるのは利点である.

 

改訂水飲みテスト,フードテストでは,以下の評価基準で行われます.

 評点1:嚥下なし,むせる または 呼吸切迫
 評点2:嚥下あり,呼吸切迫
 評点3:嚥下あり,呼吸良好,むせるand/or湿性嗄声
 評点4:嚥下あり,呼吸良好,むせなし
 評点5:評点4に加え,反復嚥下が30秒以内に2回可能と区分けする.

 

簡易嚥下機能評価(抜粋)


なお余談ですが,嚥下機能低下患者における胃瘻やCVポート造設における適応や有用性について日本人の多くの高齢者の嚥下機能の程度と合わせて詳しく調べられているとても素晴らしい論文がありましたので,参考までにリンクを貼付しておきます.
Analysis of clinical outcomes in elderly patients with impaired swallowing function (plos.org)
Sunata K, Terai H, Suzuki Y, et al. Analysis of clinical outcomes in elderly patients with impaired swallowing function. PLoS One. 2020 Sep 18;15(9):e0239440. doi: 10.1371/journal.pone.0239440. PMID: 32946492; PMCID: PMC7500590.

 

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