Dr-Kee-pyon-chan’s diary

1日1学びと息抜き

2022/02/04 ーコロナウイルス感染症としての眼病変はあるの?ー

Dr.けーぴょんちゃんです。

 

今日も外来をしながら、ふと疑問に思ったこととして、

コロナウイルスSARS-CoV2)って眼球粘膜から移るのでしょうか。

 

インターネットで、「コロナウイルス」「眼球結膜」「結膜」で検索してみると、眼科クリニックのサイトを中心として、眼球結膜から感染することが記載されています。

コロナウイルスは眼球から侵入 視力を悪化 独の研究で明らかに - Sputnik 日本, 15.10.2021 (sputniknews.com)

 

さらに日本眼科学会の声明では

・結膜という粘膜から感染しうる。

・ウイルスが付いた手で目を触ると感染する可能性がある

・結膜炎は1-3%程度の合併率だがデータ不十分

nihou.pdf (gankaikai.or.jp)

の記載に留まる。

 

一方で、医学系論文の最大サイト「Pubmed」で「COVID-19」と「Conjunctivitis」関連の論文を探してみました。思った以上に論文数が少なくて驚きました。

その中でも下記のメタアナリシス(≒いくつかの研究の統合論文)をざっと見てみても、「目を防護しましょう」とのメッセージに留まるようです。

Loffredo L, Pacella F, Pacella E, Tiscione G, Oliva A, Violi F. Conjunctivitis and COVID-19: A meta-analysis. J Med Virol. 2020 Sep;92(9):1413-1414. doi: 10.1002/jmv.25938. Epub 2020 May 22. PMID: 32330304; PMCID: PMC7264785.

 

個人的な印象と経験ですが、

・改めてコロナは(本当に憎たらしいですが)ウイルスとしての特性は興味深い。肺の粘膜(=気管支粘膜)や鼻(=鼻粘膜や嗅上皮)に感染するとはっきりと症状が出現するのに、それ以上に暴露されていると言っても過言ではない眼粘膜の症状が乏しいのは人類にとっては本当に良かったな、と思います。

・ダイアモンドプリンセスの時期から呼吸器診療に当たっていますが、少なくとも当方は眼病変は患うことなく過ごしております(実験で細胞をにらみつけていると気分は悪くなります)

・当方の外来でも、「目が見えなくなりました」といった後遺症には出会っていません(もちろん眼科専門家の先生方には遠く症例経験は及びませんが)。

 

結論としては、

・眼粘膜から理論上は感染しうるため防護しましょう、は理解できる。

・感染と発症は別問題。感染(ウイルスがくっつく)だけなのか、発症(ウイルスが悪さをするのか)するのか。過度や過少に評価しないようにする必要あり。

・眼病変の不可逆的な後遺症が報告されないことを願う。

ということですね。

 

当方が所属する施設で、1番最初にコロナ診療に携わったときに、「これで死ぬのかな」「もっと寿司食べて夜飲み会しておけば良かった」とか考えたのが懐かしいですね。稚拙ですね苦笑

 

※眼科医の先生で、もし当方の記載内容に齟齬がある場合には是非教えていただければ幸いです。